オリジナル【亡くなって、おったまげるな。】物語 その7

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金比羅の神様は船主に「お前、この滝つぼの水面の上に立ってみよ。」と言って、滝つぼの水面の上に船主を立たせた。
船主の今までの生きてきた有り様が、滝の流れに映し出されると、黒色の雫が降り注いできて、船主は滝壺の水の底に沈み始め沈んで行った。

金比羅の神様は金鯰に、「金鯰よ!船主を追っておくれ。」と言ったので、金鯰は金比羅の神様を乗せて、滝つぼの水の底に沈んで行く船主を追うように沈んで行った。

船主は沈んで行くと、ある洞窟の前でピタッと止まり、船主は止まった目の前のその洞窟に吸い込まれる様に、入って行ったので、金比羅の神様は金鯰の上から降りて、金比羅の神様も船主が入った洞窟に入って行かれた。

洞窟を入って行くと薄暗い場所に出て、その場所を見ると草木は枯れていて、黒々とした大岩があちらこちらにあって、ここにいる死者たちは一人一人が重い大石を後生大事に抱きかかえながら、枯れていている草木や大岩に、身を隠しながら身を潜めている死者たちがいっぱいいた。

そんな者たちの様子を見ていた船主だったが、船主は「あ!お金だ。」と叫びながら、船主は目の前にあった重い大石を嬉しそうに抱きかかえ始めた。

重い大石を嬉しそうに抱きかかえ始めた船主に、金比羅の神様が近付いて船主に手を触れながら、「良く見てみよ!」と言うと、船主は「お金じゃない!大石じゃないか!」と驚いたように叫んで、抱きかかえていた重い大石を放り投げた。

すると、金比羅の神様は船主に「この場所にいる死者たちは、生前に人様のお金をだまし取ったり、お前の様にお金に執着して亡くなった死者たちだ。

おまえが重い大石がお金に見えたように、ここにいる死者たちは、重い大石がお金に見えから、誰にも取らないようにしょうと、重い大石を後生大事に抱きかかえながら、枯れている草木や大岩に身を隠しながら身を潜めている死者たちなのじゃ!

この場所は守銭奴(しゅせんど)地獄で、まあ、今のお前は亡くなると、この場所に来なければならない、生き方をしているから、当然のことじゃろうなぁ。

お前が娑婆(しゃば)に戻ってから、改心し善業の行いを多くすれば、天国へ行くことも出来るが?

おまえに改心をして欲しいとワシは強く望んでおる。」と金比羅の神様は話されると、この場所を後にされて洞窟を出て、金鯰の上に金比羅の神様と船主が乗られた。

「金鯰よ!上昇して、また、館の滝に戻って、閻魔大王のいるところまで戻っておくれ。」と、金比羅の神様が言ったので、金鯰が金比羅の神様と船主を乗せながら上昇し、そして、館の滝つぼの上に出て、閻魔大王のいるところまで戻った。

その8に続く

作者 ©鈴木孝夫 2019年 (許可なしに転載、複製することを禁じます)

この記事を書いた人

骨皮スジ夫

骨皮スジ夫

金鯰物語の作者。塩川町出身、塩川町在住。発明家としての顔も持っている。