オリジナル「御清水」物語

岩代の国の塩川というところがあった。

水運の宿駅として大きな廻来船が毎日往来し、繁栄している川港の中心地の街で、港に近いところに金比羅神社が祀つられていて、船海安全を守る舟運の神として多くの水夫や商人達の信仰を集めていた。

この金比羅神社を代々大切にお守りしてきた、信仰深い人の良い漬物屋の夫婦がいた。

夫婦が金比羅神社のお掃除をしてお参りをしていると、御神木の銀杏の木の葉っぱがヒラヒラとそれぞれの夫婦の腰に落ちて付いた。

この夫婦は漬物作りで腰が痛く辛かったのだが、腰の痛みが二人ともなくなってしまった。

そんな不思議な事があったその日の晩の事だが、夫婦が寝ていると夢の中に金鯰の上に乗った白髭の老人が現れた。

「ワシは金比羅神社の神で、お前の家は代々に渡って金比羅神社を守ってくれている功のお礼として、お前達夫婦が作っている漬物に使う塩を授けよう。夢々疑うことなかれ。」と言い終ると金鯰の上に乗った白髭の老人が消えてしまった。


朝夫婦が目覚めて起きてみると、金比羅神社の御神木の銀杏の木の葉っぱと思われる一枚が枕の側に落ちていた。

夫婦が金比羅神社にお参りすると、御神木の銀杏の木の葉っぱがヒラヒラと二枚夫婦の目の前に落ちて来た。

すると落ちてきた二枚の銀杏の葉っぱが、不思議な事に一つになって金色に輝く蝶になり、ヒラヒラと夫婦の回りを飛び始めた。

今度は導くかのように飛び始めたので、夫婦はその蝶の後を追うように(360尺、約110m)行くと、蝶が元の銀杏の木の葉っぱに戻り落ちた。

銀杏の木の葉っぱが落ちた場所には泉が湧き出していたので、夫婦がその泉を飲んでみると何と塩水だった。

天候や水位に左右される舟運の輸送の為に、塩が手に入らないことがあって漬物を作られないことがあったのが、泉の塩水でいつでも漬物を作られるようになって大いに助かったとさ。

この塩水が湧き出ている泉を、人々は「御清水」と呼ぶようになった。

めでたし、めでたし。
おしまい。

作者 ©鈴木孝夫 2017年 (許可なしに転載、複製することを禁じます)

市指定史跡【御清水】について

昔、日橋川と大塩川の合流地点近くに、周囲約18メートル四方ほどの泉がありそこから塩水が湧き出て、大塩川に注ぎ込んでいた。塩川の地名はここから生まれた。

所在地
〒969-3524  福島県喜多方市塩川町清水岸

交通アクセス
塩川駅から徒歩で5分

この記事を書いた人

骨皮スジ夫

骨皮スジ夫

金鯰物語の作者。塩川町出身、塩川町在住。発明家としての顔も持っている。