オリジナル「春は神様は大忙し」物語

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冬将軍から春将軍の季節になった。

春風が吹き、お天道様の優しい日差しに、寒く厳しかった思いが癒され、あちらこちらで雪解けが進む。

土が見え始めて草花が芽吹くと、一斉にニョキニョキと競うかの様に、土筆たちが地面から「こんにちは。」と、一斉に顔を出し始める。

一斉に顔を出し始めた土筆たちを、金比羅の神様はご覧になり、「また忙しくなるな。」と苦笑いしながら、一斉に顔を出し始めた土筆たちを見つめておられた。

金鯰は金比羅の神様が、土筆たちを見ながら「また忙しくなるな。」と、苦笑いされた訳を知っているので、「クス、クス。」と思わず笑ってしまった。

冬将軍の季節に、銀世界の雪の下でじっとしていた精霊たちが、金比羅の神様にお力を貸して頂きたい願い事を、土筆で書いて、金比羅の神様に持って来るからだ。

「土筆さん、お目覚め待ってたよ。」という精霊たちの声が、あちらこちらで聞こえ始めると、そら来たぞ!

精霊たちが願い事を書いた物を持って、ぞろぞろと一斉に金比羅の神様のところにやって来た。

精霊たちの長い行列が出来て、金比羅の神様は大忙しだ。

精霊たちの願い事は「やまびこさんが声枯れしているので、見に行って欲しい。」「山羊さんが手紙を食べてしまうから、手紙を食べないようにして欲しい。」「溶けないでいる雪で、冬眠していた熊さんたちが、穴から出て来れないでいるので、春将軍にもっと強く春風を吹かせて欲しい。」「満月に、お月見のお供えする団子を作るのに、月のうさぎさんに来てもらって、餅をついて欲しい。」などなど、とうとう。

精霊たちが書いてきたお願い事を、金比羅の神様は一つ一つ受け取っては、「フウ!フウ!」言いながら、汗をかきながら読んでいたとさ。

おしまい。

作者 ©鈴木孝夫 2019年 (許可なしに転載、複製することを禁じます)

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骨皮スジ夫

骨皮スジ夫

金鯰物語の作者。塩川町出身、塩川町在住。発明家としての顔も持っている。