オリジナル「神様の大相撲」物語

金比羅の神様が金鯰の上に乗って岩代の国の塩川の街の巡行をしていると、「金比羅の神様。金比羅の神様。」と呼ぶ声が空の方からしてきた。

声のした空の方を見ると、金龍に乗って大国主神様(金比羅の神様からすると、上の神様で、金比羅の神様より神力がある神様)が下りて来ていた。

大国主神様が下りて来られたので、「大国主神様わざわざのお越し、どうなさいましたか?」と金比羅の神様が聞いた。

「金比羅の神様、今、ワシ相撲にはまっておっての、諸国の神様たちと相撲を取っていて、負けなしの連勝中だが、そんなワシと相撲を取って力試しをしてみないか?」と大国主神様がおっしゃった。

「相撲ですか?」と金比羅の神様が聞き直すと、「そうじゃ、ワシと相撲を取って勝ったら、金比羅の神様が一番に望んでいる事に、ワシの力をかしてやるぞ。ワシと相撲を取らんか?」と大国主神様が更におっしゃった。

金比羅の神様は「私の一番の望みは街の平穏無事なので、私が勝ったらば、力をかして下さるんですね。では、相撲を取りましょう。」と返事をして相撲を取ることになった。

「それじゃ、これから相撲を取る場所に行くから、ついてまいれ。」と大国主神様がおっしゃると、大国主神様が金龍に乗って飛び始めた。

その後を追うように、金比羅の神様は金鯰の上に乗ってついて行ってみると、着いた場所は天の川だった。

天の川は星の集団の雲状の光の帯で、まるで川の様にどこまでも続いていて、とても明い綺麗な場所だった。

天の川に着くと、大国主神様は何やら唱えられて、念じられることをし始め、すると、天の川全体が光り輝いた。

大国主神様がしていることがどうも気になって、金比羅の神様が「大国主神様、何をされていられるんですか?」と尋ねると、「清めていただけだから、気にするでない。じゃ!相撲を取ろう。ワシに負けるでないぞ。」とおっしゃった。

ちょうど彦星が織姫に会いに来ていたので、行司を彦星がすることになった。

「かたや、大国主神様、大国主神様。こなた、金比羅の神様、金比羅の神様。」と行司の呼び出しの声に、大国主神様と金比羅の神様が向き合い、お互い礼をしてから、大国主神様が四股を踏み始めて、「ドスン!」という音と共に、天の川の星の一つが流れ星になって、「ヒュー!」と飛んで流れて行った。

今度は、金比羅の神様が四股を踏み始めると、「ドスン!」という音と共に、また、天の川の星の一つが流れ星になって、「ヒュー!」と飛んで流れて行った。

その後も、大国主神様と金比羅の神様が四股を踏むたびに、天の川の星が次々と流れ星になって、「ヒュー!ヒュー!」と飛んで流れて行くので、金比羅の神様はとても楽しくなり「この流れ星は、大国主神様の演出ですか?」と聞いた。

「そうじゃ!楽しいだろう。」と大国主神様がおっしゃっては、また大国主神様が「ドスン!」と四股を踏んでは、天の川の一つの星が流れ星になって「ヒュー!」と飛んで流れて行った。

金龍と金鯰と織姫が見守る中、大国主神様と金比羅の神様に、行司が「時間です!」と言って、「待ったなし!」「手をついて!」「腰を下ろして!」との掛け声に、大国主神様と金比羅の神様がぶつかり合った。

行司の「はっけよい!」の掛け声に、大国主神様が上手投げを金比羅の神様にすると、金比羅の神様が「ドスン!」とこらえて残ると、「ドスン!」という音と共に、天の川の星の一つが流れ星になって、「ヒュー!」と飛んで流れて行った。

行司が「残った!」の掛け声に、今度は金比羅の神様が下手投げを大国主神様にすると、大国主神様が「ドスン!」とこらえて残ると、「ドスン!」という音と共に、また、天の川の星の一つが流れ星になって、「ヒュー!」と飛んで流れて行った。

それからも大国主神様と金比羅の神様が、技の投げ合いをして、こらえて残るたびの「ドスン!ドスン!」の音と共に、天の川の星が次々と流れ星になって、「ヒュー!ヒュー!」と飛んで流れて行った。

しばらく勝負がつかなかったが、大国主神様の上手投げで、金比羅の神様が投げ飛ばされてしまい、金比羅の神様が尻餅をつくと、「ドタン!」という音と共に、天の川の星の一つが流れ星になって、「ヒュー!」と飛んで流れ行った。

そして行司の「大国主神様の勝ち!」が告げられた。

負けてしまった金比羅の神様が、「大国主神様はお強いですね!残念ですが、私の一番の望みの街の平穏無事に、お力をおかししていただきかったのですが、私の負けなので、自分で頑張って成し遂げます。相撲を取っていただきまして、ありがとうございました。」と言った。

大国主神様は「今まで相撲を取ってきた神様たちの中で、金比羅の神様が一番強かった。

金比羅の神様、相撲を取ってくれた敬意に対して、勝負の勝ち負けに関わらず、力をかすつもりでおったので、ワシと金比羅の神様が相撲を取るために、天の川に着いた時に、ワシが何やら唱えて念じていただろう。

あれは、金比羅の神様の一番の望みの街の平穏無事に、ワシの力をかす為に天の川全体に、災いの種を消し去ってしまうワシの力を入れていたんじゃよ。

ワシと金比羅の神様が四股を踏んだり、技の投げ合いをして、こらえて残るたびの『ドスン!ドスン!』の音と共に、天の川の星が次々と流れ星になって、『ヒュー!ヒュー!』と飛んで流れて行っていたじゃろ。

あの流れ星には、ワシの入れたその力が入っているので、流れ星が金比羅の神様の街の空を飛んで流れていく時に、ワシの力が街に降り注いで、街は災いの種を消し去ってしまっているはずじゃから、更なる平穏無事になっているはずじゃよ。」とおっしゃった。


金比羅の神様は大国主神様の計らいに、「大国主神様と相撲が取れて、とても楽しかったです。お力おかし下さり、本当にありがとうございました。」と言った。

「ワシも金比羅の神様と相撲が取れて、とても楽しかった。また相撲を取ってほしい。」と大国主神様が言って下さったので、金比羅の神様は「はい!」と答えた。

大国主神様に深々と頭を下げて、金比羅の神様は金鯰の上に乗って、天の川を後にして街に帰ってみると、街のあちらこちらから「ワハハ!ワハハ!」「ウッフフ!ウッフフ!」という、笑い声がしていたので、金比羅の神様は微笑みを浮かべながら、「大国主神様、ありがとうございます。」と言っていたとさ。おしまい。

作者 ©鈴木孝夫 2019年 (許可なしに転載、複製することを禁じます)

この記事を書いた人

骨皮スジ夫

骨皮スジ夫

金鯰物語の作者。塩川町出身、塩川町在住。発明家としての顔も持っている。