オリジナル「節の話し」物語

金比羅の神様は金鯰の上に乗って岩代の国塩川の街の川沿いを巡回をしていると、8歳くらいの男の子が土手の上でしゃがみ込んで大泣きをしていた。

金鯰はそんな男の子が気になり、「金比羅の神様、あの男の子は、何を泣いているんでしょうかね?」と聞いた。

金比羅の神様はその男の子を見つめながら、「そうじゃのう! 何か辛いことか、悲しいことあって、泣いておるんじゃろう?まあ、あの子どもは、泣ける余裕があるから大丈夫だ!」と答えられた。

金鯰は怪訝そうな表情をしていたので、金比羅の神様は「金鯰よ!お前もあの男の子のように、今まで何か辛いこととか、悲しいことあって、泣いたことが今まで幾度どもあったじゃろう?」と言われた。

金鯰は「はい!そうですね。たくさんありました。」と答えた。

金比羅の神様は「そうじゃろうな!」とおっしゃって、金比羅の神様は金鯰の上から「ヒョイ!」と土手に跳びはねて行かれた。

しばらくすると、金比羅の神様は手にヤツデの葉を一枚握って戻って来られると、金鯰の上にまた乗られた。

そして金比羅の神様は「キョロキョロ」と見渡されると、指差しながら「あそこの林までで行っておくれ。」と言われた。

金鯰は、金比羅の神様が言われた林の前まで行くと、金比羅の神様は持っていたヤツデの葉に「エイ!」と念をおくられると、「このヤツデの葉は、天狗の団扇ならぬ金比羅の団扇じゃ。」と言われた。

金比羅の神様はヤツデの葉をあおぎ始めると、「ゴー!」という音を伴う強い風が吹き始めた。

すると、林の木々が「バリ、バリ。」と音を立てながら強い風で折れてしまった。

そしてまた、金比羅の神様は「キョロキョロ」と見渡されると、また指差しながら「竹林ところまで行っておくれ。」と言われた。


金鯰は、金比羅の神様が言われた竹林の前まで行くと、金比羅の神様は、また、ヤツデの葉をあおぎ始めた。

「ゴー!」という音を伴う強い風が吹き始めると、竹林が大きくしなりはするが、竹林の竹は一本も折れなかった。

金比羅の神様はヤツデの葉をあおぎながら、強い風で大きくしなっている竹林を指差しながら、「強い風に竹林が大きくしなっても折れないのに 林の木々が折れてしまったのはどうしてだと思う?」と聞かれた。

金鯰はあれこれと考えてみたが、答えが見つからなかったので「なぜ、林の木々は折れてしまったのに、竹林の竹が一本も折れなかったかはわかりません。」と答えた。

金比羅の神様は「竹林は強い風に吹かれてもしなりはするが折れない訳は、竹には節があるからじゃ。」 

「辛い悲しい、怒と哀という出来事にあうのは誰しも嫌だろうけど、人生には辛い悲しい、怒と哀という出来事はつきものなのじゃ。」

「辛い悲しい、怒と哀という出来事に遭遇した時に、精神力が鍛えられるから竹の節のようなものが出来るということを知って欲しくて、林と竹林両方に強い風を吹かせてみたのじゃよ。」と話されたとさ。                                 

おしまい。

作者 ©鈴木孝夫 2021年 (許可なしに転載、複製することを禁じます)

この記事を書いた人

鈴木孝夫

金鯰物語の作者。塩川町出身、塩川町在住。発明家としての顔も持っている。